情報項目について回答した535人のうち、7項目すべてについて「この件に関して すべて知っていた」と回答したのは2人のみであった95
は「死刑執行のプロセス」であるが、「この件に関してすべて知っていた」を選択 した者はわずか16%であった。
「終身刑囚の仮釈放の可能性」に関して回答者はほとんど知識を有しておらず、 「すべて知っていた」と回答したのはわずか1%であった。また、死刑存置を選択 した理由を調べると、「日本では仮釈放の無い無期懲役はない」という理由を選ん だ回答者の割合が、実験群は統制群より少なく統計的に有意である。これは、回答 者が終身刑囚の仮釈放の可能性(仮釈放は非常に少ない)に関して正しい知識を得 たことによると考えられる。
同様に、「死刑と犯罪率の関係」に関する知識(「すべて知っている」を選択し た回答者はわずか4%)も、実験群の回答者に対して、存置を正当化する理由の選 択に影響を及ぼした可能性がある。抑止力は、統制群におてい存置の理由として選 択された理由のうち3番目(42%)に多いものであるが、実験群ではこの選択肢を 選んだのは25%でそれほど多くない。実験群と統計群におけるこの相違は、統計的 にも有意である。
情報の獲得とその解釈については調査Ⅱの範囲を超えるものであるが、事前に得
た知識水準と死刑に対する意見の間の関連は明白である。知識が多い回答者(知識 全体の尺度が7点から 17点)と知識が少ない回答者(尺度が 18点から 28点)では、 死刑に対する意見の分布が異なり、相違は統計的に有意でp<.01レベルとなる(表 2参照)96
。知識を有している者では廃止派(49%)が多く、他方、知識を有していな
い者では廃止派(27%)が少なくなる。この相違は大きく統計的にも有意である (2つの割合のZ検定は、.01レベル、Z=3.974)。知識のある参加者は、存置派か 廃止派に関わらず、「わからない」(16%)を選択する者が少なくなり、より確固 とした意見をもつ傾向がある。
2"
「絶対存置」及び 「たぶん存置」
知識がある 35% 知識がない 36% 192
合計(N)
「わからない」 「絶対廃止」及び 「たぶん廃止」
16% 37% 180
49% 27% 163
" 1) 17" 2) 1828"
合計(N) 88
447 535
。最も認知度が高かった項目
95この2人の回答者は、死刑は「絶対に廃止されるべき」と信じている廃止派である。 96 Pearson’s Chi-Square t(2)=21.559, N=535, p<.01.
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