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委員会は、とりわけ面会及び通信の不当な制限24


、居室の狭さ、適切な食事と運動の


欠如並びに居室外で過ごす時間の不足を含む、劣悪な拘禁環境について懸念を示し ている。拷問禁止委員会は死刑を科された者の拘禁状態の問題に言及し、過度に長 期間に及ぶ拘禁によって引き起こされる著しい精神的苦痛は、残虐、非人道的かつ 品位を傷つける取扱になりうるとしている。25


国連経済社会理事会決議1996/15は死刑を執行する可能性のある加盟国に対し、


死刑を科された者の苦痛を最小限とし、かつそのような苦痛が悪化することを防ぐ ために、「国連の被拘禁者処遇最低基準規則を効果的に適用するよう」要請した。26


日本の法律および実務


以下に示す7つの項目は、日本の法及び実務のなかで、拷問その他の虐待と最も 関連性のある内容をまとめたものである。


1. 2007年に施行された刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 は、死刑確定者は単独室に収容され、他の被収容者とも昼夜にわたり隔離さ れることを規定している。この法律上、他の死刑確定者と接触することが同 法第32条第1項に「死刑確定者の処遇に当たっては、その者が心情の安定 を得られるようにすることに留意するものとする」と規定された処遇の原則 に照らして有益と認められる場合には、他の死刑確定者との接触も可能とさ れている。しかし実際には、法務省は、こうした相互接触は許されていない ことを認めている。


2. 外部の人々との交流(外部交通)は厳しく制限されている。死刑確定者が 外部交通を認められる人の人数は3名ないし5名に制限されており、文通が 許可されている相手方であっても、必ずしも面会は認められない。


死刑確定者とその弁護人との間の面会は、通常、看守による立会が付く。しかし、 2012年1月27日、広島高等裁判所は、再審請求事件の弁護人と立会なしに面 会することは「死刑確定者の正当な利益」であると認定し、特別な事情がない限り、 看守による立会は認められるべきではないとした。政府はこの判決に対して最高裁 判所に上告し、事件は現在なお係属中である。現在のところ、死刑確定者と弁護人 との面会に看守が立ち会うことは、実務上通常に行われている。


3. 法務省は、こうした制限的な運用を行うのは、同法32条に規定されてい るように、死刑確定者の「心情の安定」を維持する必要があるためだと主張 する。法務省はまた、「心情の安定」の維持派、死刑確定者の権利を制約す るための原理として解釈されてはならなず、死刑確定者に援助するためのも のとして解釈されるべきだとも述べる。しかし、実際には、「心情の安定」 という文言は、常に死刑確定者の権利、特に外部交通の権利を制限するもの として使われている。


4. 日本では、死刑確定者は死刑執行の直前(通常は僅か1~2時間前)まで、


24規約人権委員会による日本政府報告書審査の総括所見(1998年11月)パラグラフ21(CCPR/CO/& 25注4記載の国連事務総長報告書54頁を参照。 26注7記載の経済社会理事会決議のパラグラフ7を参照。


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