多くの側面において、自由権規約の下の義務にしたがっていないことを指摘してき た。あまりに広い死刑相当犯罪の範囲から、事実上の恩赦の機能不全、劣悪な死刑 確定者処遇、上訴を経ずに死刑執行がなされる可能性、そして、有能な弁護人や、 検察が保持する減刑あるいは無罪につながる可能性のある証拠へのアクセスの問題 に至るまで、日本の死刑制度には深刻な欠陥がある76
。自由権規約及び死刑に直面す
る者を保護するためのセーフガードの下で日本に求められていることと、国内法が 死刑運用に要求していることとの間には、大きな隔たりがある。この隔たりが解消 され、あるいは大幅に軽減されない限り、日本は「実在する最も深刻な法律問題」77 に関して、国際的に孤立したままであろう。
提言 拘束力ある国際基準と、自由権規約の下での日本の義務に適合した措置をとるた
めには、日本の死刑を規制している刑法及び憲法について以下の改革が実施される 必要がある。
• 殺害の故意を伴わない犯罪を死刑適用の対象から除外する。 • 代用監獄制度を廃止し、公判前の拘禁に効果的な司法的統制を行う制度を導 入するとともに、その期間を大幅に短縮する。
• 事実審及び上訴審における手続的保障を強化する。 • 死刑を言い渡されたすべての者に、再審請求段階を含むすべての段階で法的 援助を提供することを含め、効果的かつ強制的な上訴の権利を与える。
• 公正かつ機能的な恩赦手続きへの全面的なアクセスを提供する。 • 再審又は恩赦の請求手続が係属中の事案は、死刑を執行しない。 • 死刑確定者の拘禁環境及び処遇を改善する。
これらの措置がとられない限り、かつ、死刑に関する法とその運用が死刑に直面 している者の権利を十分に保護するものでない限り、日本によるこれ以上の国際法 違反を避けるために、すべての死刑の執行が停止されるべきである。
76日本の死刑制度の欠陥に関するさらなる分析については、デイビッド・T・ジョンソン, ”Progress and Problems in Japanese Capital Punishment” (Roger Hood及びSurya Deva編‘Confronting Capital Punishment in Asia: Human Rights, Politics, Public Opinion and Practices (Oxford University Press, 2013(近刊)) を参照。
77 Scott Turow, Ultimate Punishment: A Lawyer’s Reflections on Dealing with the Death Penalty (New York: Farrar, Straus and Giroux, 2003), p.11.
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