図8の結果は、内閣府世論調査の設問の質に関する問題点を示唆している。実験 群と統制群の間で統計的に顕著な違いが見られないという事実は、著者が用いた設 問では情報提供による意見の相違を把握できたが、内閣府調査の設問はそれができ ず、変化を適切に把握できない感度に欠ける設問であることが明らかである。存置 派(「場合によっては死刑もやむを得ない」)の広範な定義と廃止派(「どんな場 合でも死刑は廃止すべきである」)の狭義な定義のため、死刑支持に対する態度の 適応性を充分に把握できないと考えられる。これは、死刑制度に関する政策に対す る重要な示唆を含んでいる。内閣府世論調査の設問による回答結果には、存置派の 意見が過剰に反映している可能性があるため、結果の解釈には注意が必要となる。
るので、知識全体の尺度は7点から28点となる。実験群の知識全体の尺度の平均値 は22点で、情報をまったく持ち合わせていないグループ(28点)も存在する。図 9は、知識全体の尺度の度数分布を表しており、分布曲線は尺度の高い方、つまり 知識が少ない方に向かってカーブを描いている。
第三に、調Ⅱ査によって回答者は死刑制度について知識が十分でないという仮説 が確認できた。調査方法において説明したように、実験群の回答者には、7項目の 情報を提供し、各項目についてどれほど知識を持ち合わせていたか4段階(1点の 「この件に関してすべて知っていた」から4点の「この件に関しては初めて知った」 まで)のリッカート尺度で回答するようにした。7項目の情報を使って、全体的な 知識を測定するリッカート尺度を新たに作成した。この尺度の信頼性は、クロンバ ックのα係数(.856)によって確認された。各項目は4段階の尺度で構成されてい るので、知識全体の尺度は7点から28点となる。実験群の知識全体の尺度の平均値 は22点で、情報をまったく持ち合わせていないグループ(28点)も存在する。図 9は、知識全体の尺度の度数分布を表しており、分布曲線は尺度の高い方、つまり 知識が少ない方に向かってカーブを描いている。
図9:実験群の知識全体の尺度の分布
60 50 40 30 20 10 0
注:
Figure 9: Distribution of knowledge scores for the experimental group 9"
Public attitudes to the death penalty in Japan
7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
(1)回答者の合計人数 N=535 (2)知識の尺度は7点から28点まで (3)平均値=21.95、中央値=23 標準偏差=4.62、最少値=7 最大値=28
各項目に関する知識を測定したところ、回答者の半数以下はすべての項目につい て情報を持ち合わせている(「この件に関してすべて知っていた」あるいは「この 件に関してだいたい知っていた」;図9参照)と回答した。実験群では、すべての 情報項目について回答した535人のうち、7項目すべてについて「この件に関して すべて知っていた」と回答したのは2人のみであった95
各項目に関する知識を測定したところ、回答者の半数以下はすべての項目につい て情報を持ち合わせている(「この件に関してすべて知っていた」あるいは「この 件に関してだいたい知っていた」;図9参照)と回答した。実験群では、すべての
Notes: 1) Total number of respondents: n=535 2) Knowledge scale ranged between 7 and 28 3) Mean=21.95, median=23, standard deviation=4.62, minimum=7 and maximum=28
" 1) N535" 2) " 3) 21.95234.6228"
When examining knowledge of each information item, less than half of the respondents answered that they were informed about all items (“I knew all about it” and “I roughly knew most of it”; see Figure 30). Out of a total of 535 respondents who answered all information items from the experimental group, there were only two who selected “I knew all about it” for all seven items.94
Te
highest knowledge recorded was of the “execution process”, though only 16% of respondents selected that they knew “all about it”.
45 。最も認知度が高かった項目 は「死刑執行のプロセス」であるが、「この件に関してすべて知っていた」を選択
"
Frequency
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