措置はまったくとっていない。故意による殺害を伴わない犯罪に対して死刑を適用 することは、規約第6条第2項の下での義務に適合しないものであり、かつ、死刑 を「もっとも重大な犯罪」に制限するセーフガード第1にも反するものである。
特赦又は減刑を求める権利
第6条第4項は次のように定めている。 死刑を言い渡されたいかなる者も、特赦又は減刑を求める権利を有する。死刑に対 する大赦、特赦又は減刑はすべての場合に与えることができる。
セーフガードの第7も同様のことを強調している。 死刑を言い渡されたいかなる者も、特赦又は減刑を求める権利を有する。特赦又は 減刑はすべての死刑事件において与えることができる。
上記のように国際法は特赦又は減刑を求める「権利」を保障しているが、これが 実効性あるものとなるためには、締約国がすべての事件について恩赦の検討を適切 に行うための効果的な手段をとる義務を負う。恩赦等に関する手続きが継続中の場 合には、いかなる者についても死刑を執行してはならない。この原則は、「恩赦あ るいは減刑に関する訴えあるいは手続きが係属中の場合には、死刑を執行をしては ならない」というセーフガードの第8から導き出される。恩赦の出願・上申は常に 死刑執行の停止の根拠となる。 近年、カリブ海諸国について、同地域の各国の裁判所並びに地域条約機関の双方 において、大赦、特赦又は減刑を求める権利が慎重に検討されてきた。 米州人権条約の第4条第6項は、自由権規約の第6条第4項と非常に似た内容に なっている。
死刑判決を受けたいかなる者も大赦、特赦又は減刑を求める権利をもち、またそれ らはすべての場合に与えることができる。
米州人権委員会は多くの死刑事例において、米州人権条約第4条第6項の影響を 検討してきた。Desmond McKenzie他対Jamaica事件17
は、死刑確定者にその過程に参加する効果的かつ適切な機会を保障しなければなら ないとした。
「委員会の見解では、大赦、特赦又は減刑を求める権利は、権利が効果的に尊重さ れ、かつ享受されるために、死刑確定者に対する一定の最低限度の手続き的保障を 含むものである。この最低保障には、権限のある裁判所がいつ当該死刑確定者の事 件を審理するのかを知らされる権利、自らあるいは弁護士による陳述を行う権利、 自己の死刑執行に先立ち、合理的な時間的余裕をもって決定を受け取る権利などが 含まれる。」18
画期的な判決となったNeville Lewis他 対ジャマイカ司法長官事件19 で、英枢密
院は、ジャマイカ恩赦委員会(誰が死刑を執行され、あるいは恩赦を与えられるか を最終的に決する機関)の手続きにおいて、公正こそが最も根本的な要請であると 判断し、ジャマイカの国際人権上の義務と合致する憲法解釈のアプローチを採用し
17 Inter-American Commission on Human Rights, Case 12.023, Report 41/00, 13 April 2000. 18前記注16の報告書のパラグラフ228を参照。 19 [2001]2 AC 50
8 で同委員会は、恩赦の手続き
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