公判前の権利 身体の自由
身体の自由は国際法・国内法の双方における基本的権利である。それは全ての国
際人権文書(世界人権宣言第3条、自由権規約第9条、米州人権条約第7条及び欧 州人権条約第5条)に記されており、イギリス連邦諸国のすべての憲法で保障され ている。身体の自由の目的は個人を恣意的拘禁から守ることであり、拘禁されない 権利というものは存在しない。その意味で恣意的拘禁の禁止はそのまま、いかなる 拘禁も国内法及び国際法の双方の基準に従う必要があるということを意味する。そ れゆえ国際人権機関は、拘禁が恣意的であるかどうかの最終判断は国際機関そのも のが行うべきであると主張している。 自由権規約第9条には公判前の権利についての詳しい条項があり、第9条に違反 することは、個々の事件において死刑が許容されるか否かに影響するおそれがある。
逮捕の理由及び弁護人へのアクセス 逮捕の理由
自由権規約第9条第2項は下記のように定めている。 逮捕される者は、逮捕の時にその理由を告げられるものとし、自己に対する被疑事 実を速やかに告げられる。
身体の自由を剥奪された個人がその理由を知らされなければならないという要請
は、国際人権法にも英連邦のカリブ海諸国の憲法に共通している。ここで求められ るのは、個人が理解可能な「簡潔な、専門的ではない言葉」で、「逮捕の基本的な 法律上および事実面での根拠」を告げられることである(Fox, Campbell及びHartley 対イギリス)29
について言及している。
被拘禁者に告げられた情報が十分かどうかは、この規定の目的、すなわち、身体 の自由を剥奪された者は誰に対しても、自らの逮捕の合法性を争うことができるよ うにする、という点によって判断される。そしてこれは逮捕理由の告知の必要性と、 効果的な防御の準備をする権利の重要な要素となる、刑事訴追を受ける者が起訴事 実の告知を受ける必要性という別の(そして時間的にはさらに後の)要請との基本 的な違いである。Kelly対ジャマイカ事件30
において、規約人権委員会は、被疑者が
逮捕理由を単に殺人とのみ告げられ、数週間後まで詳細を知らされなかったのは自 由権規約第9条第2条への違反であるとした。
どの程度の時間内で理由の告知が行われるべきかという問題はさらに複雑である。
29欧州人権裁判所【1991】14 EHRR 108,パラグラフ40 30 CCPR/C/4/D/253/1987, 10 April 1991
13
。例えば、トリニダード・トバゴ共和国憲法は「合理的に詳細な事項」
Page 1 |
Page 2 |
Page 3 |
Page 4 |
Page 5 |
Page 6 |
Page 7 |
Page 8 |
Page 9 |
Page 10 |
Page 11 |
Page 12 |
Page 13 |
Page 14 |
Page 15 |
Page 16 |
Page 17 |
Page 18 |
Page 19 |
Page 20 |
Page 21 |
Page 22 |
Page 23 |
Page 24 |
Page 25 |
Page 26 |
Page 27 |
Page 28 |
Page 29 |
Page 30 |
Page 31 |
Page 32 |
Page 33 |
Page 34 |
Page 35 |
Page 36 |
Page 37 |
Page 38 |
Page 39 |
Page 40 |
Page 41 |
Page 42 |
Page 43 |
Page 44 |
Page 45 |
Page 46 |
Page 47 |
Page 48 |
Page 49 |
Page 50 |
Page 51 |
Page 52 |
Page 53 |
Page 54 |
Page 55 |
Page 56 |
Page 57 |
Page 58 |
Page 59 |
Page 60 |
Page 61 |
Page 62 |
Page 63 |
Page 64