障が遵守されなければならない。』ということを示している。」50
委員会はさらに、死刑事件においては「規約第14条に定められるすべての公正な 裁判の保障を厳格に遵守することがさらに不可欠となる」と付け加えている。 規約人権委員会は、ジャマイカ共和国とトリニダード=トバゴ共和国の数多くの死
刑事件について、第14条違反およびその結果としての第6条違反を認定してきた。 その中で規約人権委員会は、死刑事件の被告人は、効果的な弁護を受ける絶対的な 権利を有し、防御の準備のために十分な時間及び便益を与えられなければならない と明言している。米州人権委員会も死刑事件の適正手続きについて同様のアプロー チを採用している。
防御の準備のための十分な時間及び便益 第14条第3項(b)は、次の権利を定めている。
防御の準備のために十分な時間及び便益を与えられ並びに自ら選任する弁護人と連 絡すること。
審理の開始前、公正な裁判を受ける権利の中心的な要素となるのは、防御の準備 のために十分な時間及び便益を持つ権利である。これは弁護人による弁護や証拠開 示手続きなどのその他の公正な裁判を受ける権利の土台となるものである。
防衛の準備のために必要となる時間は、手続きの性質やそれぞれの事件の実際の 状況などによって必然的に左右される。その他の関連要因には事件そのものの複雑 さ、被告人の証拠や弁護人へのアクセスなどが含まれる。
規約人権委員会はAston Little対ジャマイカ事件において、カリブ国家でのある死 刑事件が自由権規約第14条第3項(b)に違反していると裁定した。委員会は次の ように判断している。
「死刑判決の可能性がある事件において、被告人とその弁護人に裁判の防御の準備 のために十分な時間が与えられなければいけないというのは自明のことである。こ の要請は司法手続きのあらゆる段階に適用される。(中略)この事件では、被告人 が審理開始前に弁護士と打ち合わせができたのは30分だけであり、審理中の打ち合 わせ時間もこれとほぼ同程度のものであったという点には争いがない。」51
この事件において委員会は、自由権規約第14条第3項(e)に反して防御の準備 に十分な時間が与えられなかったことが、弁護側証人を探し出し、あるいは出廷を 求めるという弁護活動がなされなかったことに影響しているのは明らかだと結論づ けた。それにより被告は、自己のための証人による証言を、検察側証人の証言と同 様の条件下で得ることができなかった。
防御準備のための十分な便益を与えられる権利には、被告人が、防御の準備及び
審理の過程で、独立した第三者の専門家の意見を得る権利が含まれている。米州人 権条約の第8条第2項(f)は、「出廷した証人に尋問し、また、事実に光を当てる 可能性のある専門家その他の者を出廷させる」防御の権利を保障している。
50 (Communication No. 250/1987), U.N. Doc. CCPR/C/39/D/250/1987, at paragraph 11.5. 51 (Communication No. 283/1988), U.N. Doc. CCPR/C/43/D/283/1988 at paragraph 8.3.
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