違反ではない。しかし、自由権規約への加入は、選択議定書を批准ができる程度に 至った場合の死刑廃止に向け、締約国が姿勢を変化させていくことを示唆している。 それまでの間、死刑の適用は、自由権規約によって厳しく制限される。
死刑に直面する者の権利の保護を保障するセーフガード
自由権規約の第6条に示される死刑への制限は、死刑に直面する者の権利の保護 の保障に関するセーフガード(以下「セーフガード」)に反映され、かつさらに発 展して具体化されており、これに「いまだ死刑を科している国が適用するべき最低 基準が列挙されている。」5
セーフガードは1984年、国連経済社会理事会決議1984/506 により採択された。
1989年に経済社会理事会は、これらの内容をさらに発展させ、とりわけ死刑の宣告 及び執行に年齢の上限を設けることと、知的障がい者を死刑から保護する対象に加 えることを勧告した7
。国連経済社会理事決議1996/15は、死刑制度を廃止していな
い加盟国に対し「死刑に直面する者の権利の保護を保障するセーフガードを効果的 に適用すること」を要求している8 権委員会9
さらに国連総会決議62/149及び63/168において、再確認されている。 日本を含むすべての国は、死刑に適用される一般原則とみなされるべきセーフガ
ードに定められた国際基準の制約を受けている10 。
生命に対する権利 自由権規約第6条第2項は次のように定めている。
死刑を廃止していない国においては、死刑は、犯罪が行われた時に効力を有してお り、かつ、この規約の規定及び集団殺害犯罪の防止及び処罰に関する条約の規定に 抵触しない法律により、最も重大な犯罪についてのみ科することができる。この刑 罰は、権限のある裁判所が言い渡した確定判決によってのみ執行することができる。 (下線加筆)
生命に対する権利の例外ではあるが、自由権規約第6条は死刑の適用及び執行に ついて多くの保護条項を規定している。死刑は最も重大な犯罪についてのみ科すこ とができるが、厳密な手続的規則が尊重されねばならず、また18歳未満の者に科 してはならず、妊娠中の女子に執行してはならない。
5「死刑および死刑に直面する者の権利の保護を保障するセーフガードの実行―事務総長報告書」
Doc. E/2010/10, 33頁) 6「死刑に直面する者の権利の保護を保障するセーフガード」経済社会理事会決議1984/50,
U.N.Doc.E/1984/84(国連総会決議39/118により承認) 7「死刑に直面する者の権利の保護を保障するセーフガードの履行に関する決議」経済社会理事会決議
1989/64 パラグラフ1(d) 8経済社会理事会決議1996/15(1996年7月23日採択)パラグラフ2 9国連人権委員会決議2005/59(2005年4月20日採択) 10前記注4の国連事務総長報告書55頁を参照。
5 (U.N. 。このセーフガードの重要性は、2005年の国連人
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