ている。 拷問及び虐待等の禁止
自由権規約に基づく立場 拷問を受けない権利は、例外の認められない権利である。自由権規約第7条は、 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を禁止し ている。自由な同意なしに科学的実験を受けさせることも同条により禁じられる。
また刑罰については、自由権規約の第10条にも留意する必要がある。 1. 自由を奪われたすべての者は、人道的にかつ人間の固有の尊厳を尊重して、 取り扱われる。
2. (a)被告人は、例外的な事情がある場合を除くほか有罪の判決を受けた者とは 分離されるものとし、有罪の判決を受けていない者としての地位に相応する 別個の取扱いを受ける。
(b)少年の被告人は、成人とは分離されるものとし、できる限り速やかに裁判に付さ れる。 3. 行刑の制度は、被拘禁者の矯正及び社会復帰を基本的な目的とする処遇を含 む。少年の犯罪者は、成人とは分離されるものとし、その年齢及び法的地位 に相応する取扱いを受ける。
被告人が、最高レベルの手続き基準を適用する裁判所において死刑に直面し、あ るいは死刑判決を下された場合であっても、勾留中又は判決後の取扱いが、人間の 尊厳を傷つけるものであり、あるいは非人道的取扱とみなされることもある。そう いった取扱いは単に自由権規約への違反であるだけでなく、死刑判決の有効性を妨 げることにもなる。第6条を順守するためには、いかなる生命の剥奪も「規約の他 の条項」に適合していることが必要である。
この点に関する規約人権委員会の一般的意見は1992年22 に出され、多少なりとも
時代とは合わなくなっている。しかしながら、この一般的意見は、それ以降の判例 法(特に欧州人権裁判所23
の)とあいまって、非人道的な取扱いとは、意図的である
か否かにかかわらず著しい苦痛が引き起こされる状況を示している。残虐な取扱い もまた同様であり、品位を傷つける取扱いとは不当な屈辱を受け尊厳を奪われる状 況のことである。死刑、拘禁、裁判中の身体拘束などはすべて、屈辱を与えたり品 位を傷つける可能性のある行為であるが、拘禁と刑罰における取扱いが適法な行為 を超えて屈辱を与える目的でなされ、あるいは客観的正当性がないのに屈辱を与え るものであれば、それはこの規範への違反にほかならない。
セーフガードの第9は、死刑の執行に際して「被執行者に与える苦痛を可能な限 り最小限に抑えなければならない」としている。この要請は死刑の判決後に関する ものである。死刑確定者の拘禁状態に関して問題が生ずる可能性があり、規約人権
22 一般的意見20(1992年) 23 例えば、Peers対ギリシャ事件(2001年)およびその後のさらなる事例としてDougoz対ギリシャ 事件、Kalashnikov対ロシア、Onofriou対キプロス(2010年)の欧州人権裁判所判決を参照。
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