自由権規約の概要
今日の国際社会の人権への関心は国際連合の設立、さらに具体的には1948年の国 際連合総会での世界人権宣言採択にさかのぼる。国際社会が地域レベルそして国際 レベルで人権に関する様々な条約や規約を協議し採択してきたことは、世界人権宣 言に示された原理と理想が、ある程度発展してきた証であるといえる。
市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)2 は、世界で初めての普遍
的な人権法律文書である。自由権規約は採択後10年経ってから発効され、日本は 1979年6月21日に批准書を寄託している。
締約国には、管轄下にある個人に与えられた権利が尊重されるよう、その国家の 法律において具体的な救済措置を確保することが義務付けられている。自由権規約 の第2条は下記のように定めている。 1. この規約の各締約国は、その領域内にあり、かつ、その管轄の下にあるすべての 個人に対し、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民 的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしに この規約において認められる権利を尊重し及び確保することを約束する。
2. この規約の各締約国は、立法措置その他の措置がまだとられていない場合には、 この規約において認められる権利を実現するために必要な立法措置その他の措置 をとるため、自国の憲法上の手続及びこの規約の規定に従って必要な行動をとる ことを約束する。
3. この規約の各締約国は、次のことを約束する。 (a) この規約において認められる権利又は自由を侵害された者が、公的資格で行 動する者によりその侵害が行われた場合にも、効果的な救済措置を受けるこ とを確保すること。
(b) 救済措置を求める者の権利が権限のある司法上、行政上若しくは立法上の機 関又は国の法制で定める他の権限のある機関によって決定されることを確保 すること及び司法上の救済措置の可能性を発展させること。
(c) 救済措置が与えられる場合に権限のある機関によって執行されることを確保 すること。
上記の規定は国内の裁判所であれ規約人権委員会3 であれ、この規約の解釈につい て述べるものであり、ここから多くの要点が導き出される。
i. 又は合法的滞在者だけではなく、全ての人々の人権が保護されるべき である。なぜならそれは憲法上の権利ではなく、人間としての権利で あるからである。不法滞在者であっても、その人権は保護されるべき である。
ii. 各締約国の司法管轄下にある個人は、その国の主権の及ぶ知域内にい るかどうかにかかわらず人権を保持するというのが規約人権委員会の 見解であり欧州人権裁判所の確立した判例でもある4
。
2 市民的及び政治的権利に関する国際規約、(1976) 999 UNTS 171 3これらの多くは2004年5月に採択された一般的意見31から導き出される。
参照URL:
http://daccess-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN. 4「かかる原則は、国外で活動する締約国の軍による実効的支配にも適用され、かかる権力的または実
効的支配がいかなる形で得られたのか―例えば、国際的な平和維持や平和強制活動に派遣された締約国 の軍―に関係なく、適用される。」(一般的意見31、パラグラフ10)
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