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各グループは12、13人の参加者で構成され、各小教室に分かれて専門の司会者よ って討議が進められた89


。参加者は、午前と午後の2回の討議セッションと、その間 に開催された専門家による講義のセッションに参加した。専門家のセッションは、 一つの部屋で参加者全員の集まる講義室で実施された。ゲストスピーカーである専 門家として、死刑存置派のジャーナリスト(藤井誠二氏)と死刑廃止派の法律家 (岩井誠氏)の二人を招き、参加者が専門家と対話できる時間を設けた。参加者は、 グループ討議の間に出た質問等について専門家の意見を尋ねる機会が与えられた。


調査Ⅰの結果


調査Ⅰでは、内閣府世論調査とは異なる質問を使用し(図6参照)、5つの択肢 を採用した。具体的には、死刑存置派と死刑廃止派を2段階に分け、「絶対にあっ た方が良い(あるいは「絶対に廃止した方が良い」)」と「あった方がよい(ある いは「廃止した方が良い」)の4つの意見を尋ねた(この他に選択肢として「どち らとも言えない」がある)。


2009年の内閣府世論調査では、回答者の大多数(86%)が死刑存置を望み(「場 合によっては死刑もやむを得ない」)、少数の回答者は「わからない・一概に言え ない」(9%)あるいは、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」(6%)の 立場をとっている。


一見したところこれらの数字からは、日本国民が死刑を強く賛成しており、反対 意見はごく少数であるという結論を引き出すことができよう。しかし、調査Ⅰの結 果を検討すると、国民の態度は白黒のように明確に異なるものではなくなるのであ る。


死刑存置派の意見に関して1つではなく2つの選択肢を設けたことにより、死刑


の存置派(「絶対あったほうが良い」(絶対存置)+「あったほうが良い」)の割 合に加えて、「あったほうが良い」という人の割合(35%)が明らかになった(図 6参照)。死刑に関して「絶対存置」と答えた者は、半数以下(44%)である。回 答者のうち死刑存置に関して「あったほうが良い」(35%)、「廃止したほうが良 い」(3%)あるいは「どちらとも言えない」(16%)と回答した者がかなりを占め ることが調査Ⅰによって明らかになったが、この点は内閣府世論調査と異なる点で ある。死刑に関して確固とした意見を持たない回答者、つまり「あった方が良い」 「廃止した方が良い」「どちらとも言えない」を選択した者が、多数(55%90


める。すなわち、日本国民のおよそ半数以上が、死刑制度に関して確固たる意見 (「絶対にあった方が良い」「絶対に廃止した方が良い」)でなく、ある程度「漠 然とした」あるいは「わからない」といった態度を保有している意味する。この結 果は、浜井の調査結果(2007、2008年)とも一貫しており、同調査によると日本で は多数(65%)は死刑に関して限定的な見方をしており、積極的に死刑を支持する 者の少数(33%)であった。


)を占


894人の司会者は、市場調査会社であるエヌスタイル(http://www.nstyle.co.jp/)から派遣された。; 90


図6では、合計が54%になるがこれは四捨五入によるものである。 41


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