This page contains a Flash digital edition of a book.
条(奴隷及び強制労働の禁止)、第 11 条(契約上の義務不履行による拘禁の禁止)、 第15条(遡及処罰の禁止)、第16条(人として認められる権利)及び第18条(思 想・良心及び宗教の自由)については、どのような例外も認められずこれに違反す ることは許されない。これらの条項は常に尊重されなければならないが、なにをも って違反とするかは状況によって異なる。その他の権利、例えば第9条(身体の自 由と逮捕抑留の要件)などは、国家の非常事態においては違反する措置をとること ができるが、それは真に必要とされる場合においてのみであり、他の国際的な義務 に照らし許容される場合に限られ、また、差別を含んではならない。


生命に対する権利、拷問等の禁止についての概要


生存権と拷問を受けない権利はどちらも、戦時又は国家の非常事態においても例 外の認められない権利である。この2つの権利があいまって、国家による致死的な 実力の行使には制限がかけられ、死刑の適用も対象となる。第6条は下記のように 定めている。


1. すべての人間は、生命に対する固有の権利を有する。この権利は、 法律によって保護される。何人も、恣意的にその生命を奪われな い。


2. 死刑を廃止していない国においては、死刑は、犯罪が行われた時 に効力を有しており、かつ、この規約の規定及び集団殺害犯罪の 防止及び処罰に関する条約の規定に抵触しない法律により、最も 重大な犯罪についてのみ科することができる。この刑罰は、権限 のある裁判所が言い渡した確定判決によってのみ執行することが できる。


3. 生命の剥奪が集団殺害犯罪を構成する場合には、この条のいかな る規定も、この規約の締約国が集団殺害犯罪の防止及び処罰に関 する条約の規定に基づいて負う義務を方法のいかんを問わず免れ ることを許すものではないと了解する。


4. 死刑を言い渡されたいかなる者も、特赦又は減刑を求める権利を 有する。死刑に対する大赦、特赦又は減刑はすべての場合に与え ることができる。


5. 死刑は、十八歳未満の者が行った犯罪について科してはならず、 また、妊娠中の女子に対して執行してはならない。


6. この条のいかなる規定も、この規約の締約国により死刑の廃止を 遅らせ又は妨げるために援用されてはならない。


生命に対する権利は法律によって守られなければならない。生命の剥奪が合法と


なりうる状況については、法律で明確に規定されねばならず、これは、殺人、正当 防衛、犯罪回避又は暴動鎮圧のための適切な実力の行使、あるいは深刻な犯罪に対 する死刑の適用に関する法についてもあてはまる。


生命の剥奪は恣意的であってはならない。したがって、死をもたらすような有形 力や刑罰の行使は、明確でわかりやすく、かつ自由権規約の他の条項に反しない原 則によって、厳格に限定されるべきである。


国家が自由権規約に加入した後、既存の死刑制度を一定期間存置すること自体は 4


Page 1  |  Page 2  |  Page 3  |  Page 4  |  Page 5  |  Page 6  |  Page 7  |  Page 8  |  Page 9  |  Page 10  |  Page 11  |  Page 12  |  Page 13  |  Page 14  |  Page 15  |  Page 16  |  Page 17  |  Page 18  |  Page 19  |  Page 20  |  Page 21  |  Page 22  |  Page 23  |  Page 24  |  Page 25  |  Page 26  |  Page 27  |  Page 28  |  Page 29  |  Page 30  |  Page 31  |  Page 32  |  Page 33  |  Page 34  |  Page 35  |  Page 36  |  Page 37  |  Page 38  |  Page 39  |  Page 40  |  Page 41  |  Page 42  |  Page 43  |  Page 44  |  Page 45  |  Page 46  |  Page 47  |  Page 48  |  Page 49  |  Page 50  |  Page 51  |  Page 52  |  Page 53  |  Page 54  |  Page 55  |  Page 56  |  Page 57  |  Page 58  |  Page 59  |  Page 60  |  Page 61  |  Page 62  |  Page 63  |  Page 64