定した4件の死刑事件においても行われた46
。今日の日本においても、虚偽自白をし
た死刑確定者が存在する可能性は十分にあり、その中には、元ボクサーの袴田巌氏 も含まれている。袴田氏は1968年に地方裁判所で死刑判決を受け、半世紀近く が経った現在も再審を請求中である。最初に袴田氏に対する死刑判決を言い渡した 裁判官のうちの一人は、死刑判決への関与を深く後悔しており、彼に対す有罪判決 は誤っていたと信じている47
。 死刑事件における公正な裁判のための最低保障
自由権規約第14条の包括的条項は、公正な裁判のための最低保障を詳細に規定し ている。これらの条項はすべての死刑事件において守られなければならない。 セーフガードの第5は次のように述べる。
「死刑は、公正な裁判を確保するためにあらゆる可能な保護措置を講じる法的手続 きの後、権限のある裁判所が言い渡した確定判決によってのみ執行することができ る。この保護措置は、少なくとも自由権規約14条に含まれるものと同等であって、 死刑の適用可能性のある犯罪につき嫌疑をかけられ、あるいは訴追を受けた者が、 手続きのあらゆる段階で十分な法的援助を受ける権利を含む。」
超法規的、即決あるいは恣意的処刑に関する国連特別報告者は、死刑事件におけ
る公正な裁判の保障は「どのような事件にも、例外も差別もなく実施されなければ ならない」と述べている48
。特別報告者はまた、「死刑の適用に至る手続きは、関連
する国際法規に従って、裁判官及び陪審員の独立性、有能性、客観性、公平性につ き最高レベルの基準に合致したものでなければならない」としている49
解として、死刑に直面する者には、それ以外の事件で与えられる保護の範囲を超え て、公正な裁判を確保するための特別な保護(しばしば「超」適正手続きと言及さ れる)が与えられなければいけないと考えられている。
規約人権委員会は一貫して、死刑事件の審理過程で自由権規約第14条(公正な裁
判)の違反があった場合、同時に自由権規約第6条(生命に対する権利)にも違反 していることになるとしている。Carlton Reid対ジャマイカ事件において規約人権委 員会は次のように判断した。 「自由権規約が尊重されない審理の結果として死刑判決を科すことは、規約第6条 に違反する。委員会が一般的意見 6 で述べたように、死刑は法律にしたがい、かつ、 この規約の規定に反しない場合にのみ科すことができるという規定は、すなわち 『独立の裁判所による公正な審理を受ける権利、無罪の推定、防御権の最低限の保 障及び上級裁判所による再審理を受ける権利を含め、規約で定められた手続上の保
46 Daniel H. Foote, “From Japan’s Death Row to Freedom”, Pacific Rim Law & Policy Journal, Vol.1, No.1(1992),
pp.11-103. 47この裁判官(熊本典道氏)は、当初、袴田氏に無罪を下そうと、被告人の無実の理由を説明する360 頁にも及ぶ草稿を起案したが、有罪および死刑判決を望んだ他の2名の裁判官によって否決された。翌 年(1969)、熊本氏は抗議のため裁判官の職を辞し、2007年には日本の最高裁判所に袴田氏に対する再審 を求める嘆願書を提出した。山平重樹「裁かれるのは我なり 袴田事件主任裁判官39年目の真実」
(双
葉社、2010年)参照。 48 Extrajudicial, summary or arbitrary executions: Report of the Special Rapporteur…, UN Document
E/CN.4/2001/9, 11 January 2001, paragraph 86. 49 Extrajudicial, summary or arbitrary executions: Report of the Special Rapporteur…, UN Document
E/CN.4/1997/60, 24 December 1996, paragraph 81. 18 。一般的な理
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