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SAN DIEGO YU-YU


JULY 16, 2012


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Dr. 美甘の心の健康ノート Mental Health


アメリカの特殊教育 美甘 章子 心理学博士


みかも


 日本でも2005年に発達障害者支援法が施行 され、精神発達遅滞や肢体不自由、聾、盲、唖 など、それまでにも支援されていた障害だけで なく、学習障害、注意欠如・多動症、広汎的発 達障害、アスペルガー症候群など、知能が平均 またはそれ以上でも、日本で言う「発達障害」


つまり、発達や情報処理に障害がある子供や大 人についての療育や社会によるサポートが唱道 されるようになりました。  しかし、現在でも日本の特殊教育を受けてい るのは、


閉症、聾、盲、唖は “Low Incidence Disabilities”


(発生率の低い障害) と呼ばれ、特殊教育に該当 する児童生徒の中で占める割合はとても低いの が実情です。





 以前にも述べたように、アメリカでは、発達 障害は発達そのものに遅れが見られる自閉症ス ペクトラムの障害を指し、自閉症、広汎性発達 障害、アスペルガー症候群などを含み、学習障 害や注意欠如・多動症は「発達の段階において 顕著となる障害」とされ、


「発達障害」には含ま


青少年が大多数です。それに比べてアメリカで は、特殊教育を受けている児童生徒の大多数が 学習障害など、日本で言う「発達障害」を持っ ており、肢体不自由、精神発達遅滞、重度の自


「発達障害」以外の従来の障害を持った 6/25/12


ショージ様(Fax: 619-286-1331)


れません。日本では、これら全てを「発達障害」 と呼んでいるため、教育や医療現場でも大混乱 が起こっており、


診断区別やそれぞれのコンディ


ションに合った治療法や療育が確立しておらず、 「知能は低くはないけれど、空気が読めない、学


いつもお世話になっております。 7/16/2012号に掲載する記事見本をFaxいたします。 ご照査の程よろしくお願い致します。


美甘 章子


サンディエゴゆうゆう 西村玲子(Tel: 858-576-9016 Ext.114/Fax: 858-576-7294/E-mail: news@sandiegoyuyu.com


広島大学教育学部・大学院から教職を経て渡米。心理 学博士として医療や教育現場で幅広く臨床経験をつん だ後開業。元みなと学園コンサルタント。現在、臨床 心理ドクターとして臨床とコンサルテーション(エグセ キュティブ・コーチング、産業心理、スポーツ心理等) 日米両国において幅広く活動。


保護者、


習効果が上らない、変わった人 (子供)」が十把 ひとからげで「発達障害」と呼ばれ、最適な教 育や治療がなされていない場合がとても多いよ うに見えます。  また、障害児や障害者に対するアメリカと日 本の社会的姿勢には根本的な違いがあります。 アメリカでは、1974年に施行された均等教育機 会法に基づいた障害者教育法によって、障害を 持った子供たちが一般的な教育方法で他の子供 たちと同じような学習効果が上らないのに、何 もしないのは差別であるという概念から、個々 の学習スタイルや能力に合わせて個別指導計画 を立て、その子の持つ能力を最大限に生かせる ような教育をしなければならないと考えられて おり、その責任は教育委員会が担っています。  例えば、学習障害を持った子は、その子の細 かい情報処理パターンを調べる検査の結果に基 づいて、特殊教育教師 (読み、書き、算数など の基本的な技術を身に付ける学習のやり方を訓 練するスペシャリスト)、言語療法士、作業療 法士、学校心理士、適応体育教師、ホームルー ム教師、


校長などが一つのチームとなっ


て、それぞれの子供たちの学習やソーシャルス キルの目標を具体的に立てて、プログレスを吟 味します。


ショージ先生の ワンポイント英語(68) 9番の雲の上?


 今回は「be on cloud nine」という熟語の勉強ですが、これを文字通り「9 番の雲の上にいる」と訳してはいけません。 も、特にギャンブルの世界では、


「9」という数字は東洋でも西洋で 「幸運な数字」とされています 渋谷 昌治 (しぶや・ しょうじ)


1966年第11回高松宮杯全日本英語弁論大 会優勝、早稲田大学主催全日本学生英語弁 論大会優勝。1969年明治学院大学英文学 部音声学科卒業。同年東京アナウンスアカ デミー卒業。日本では「オールナイトニッ ポン」のDJとして活躍。1969年留学のた め渡米。1974年よりサンディエゴに定住。 1976年「ショージ英会話教室」を開校。 4966 - B Waring Rd, San Diego Fax / T el(619)286-1331 shojieikaiwa@hotmail.com www.eikaiwashojisd.com


 例えば、フランスの伝統的なカードゲームの「バカラ」や中国の古くからあ るタイルゲームの「牌九」でも「9」という数字が「勝ち目」になっております。 それで


「be on cloud nine」は


今日では 「幸せな気持ちになっている」とか「うきうきしている」という表現 になったわけです。  それでは、


「be on cloud nine」を使った会話を勉強しましょう。


A: Dad! I got an “A” on my American History test. (お父さん!アメリカの歴史で「A」をもらったよ。 B: No wonder you have been on cloud nine.


) 「ラッキーな9番の雲の上にいる」という流れで、 (だから、うきうきしているんだな。 )


--------------------------------------------------------------------- A: Somebody told me Mr.Tanaka finally found a job. (誰かが、田中さんがやっと仕事を見つけた、と教えてくれました。





B: I bet he is on cloud nine. (きっと、彼はうきうきしているね。)


--------------------------------------------------------------------- A: Did you hear Tom was awarded the first place in the speech contest?


(トムが弁論大会で1位をもらったと聞きましたか?)


B: No kidding? He must be on cloud nine. (冗談抜きに?彼はうきうきしているに違いないね。)


 また、本来の学区の公立校でその子が必要と する教育プログラムを提供していない場合は、 学校側がスクールバスなどの費用を負担して、 自宅からそのような教育プログラムのある学校 への送迎を行ったり、教育委員会の管轄する学 校区内にない場合は、私立の学校の授業料を負 担してでも必要な教育を提供しなければいけな いことになっています。  日本では、従来、少数のグループが大多数の 人たちの邪魔をするのは良くないと考えられて いるため、


障害児の親は学校や社会に対して「迷


惑をかけて申し訳ない」と感じており、社会も 少数グループの人たちの福利厚生は、


そのグルー


プに属する人たちの数が増えないと重要視され ない傾向があります。  ですから、障害児を持った家族がアメリカに 駐在や商業などの理由で移り住んだり、アメリ カに住む日本人家庭に生まれた子供に障害があ ることが分かると、日本人の親たちは、アメリ カでは障害があってもその子に合ったベストの 教育を受けられるという基本的な権利があるこ とを知らない場合が多く、また、聞いたことが あっても実感していません。


 教育予算が極端に削られている現在のアメリ カでは、費用のかかる法律どおりの最適の特殊 教育方法は学校からは話題にされないことも多 いのですが、保護者がリクエストすると、学校 側は最低でもアセスメントをして、その必要性 を吟味することが義務付けられています。特殊 教育において、子供が最適な教育方法によりベ ストな知的、情緒的、身体的、社会的な発達が できるようにサポートするのは社会の義務なの です。


X  X  X  X  X


「心の健康ノート」シリーズでは、主な心の 病気やストレスの現れ方、心理療法、精神科薬、 人との接し方、家族関係、職場でのメンタルヘ ルスなどについて、心と体の健康のために、ぜ ひ皆さんに正しく理解して頂きたいことを紹介 していきたいと思います。 


A


B C


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