CLOSE UP 2011 汚辱にまみれた“エリエール・ ブランド” カジノ放蕩で豪遊尽くしたプリンス
「一晩5億」カジノで豪遊 井川容疑者、派手な横顔
「1回の勝負に1千万
円賭ける上客だった」 「一晩にカジノで5億 円負けたことも」 子会社から30億円 超の資金を不正に引き 出し、特別背任容疑で逮捕された大王製紙前 会長、井川意高容疑者。大企業経営者の顔と は裏腹に、ギャンブルに湯水のように金を使う 派手な私生活も知人の間では有名だった。 「多い時で月1回はマカオに通い詰め、4か 月連続で5億ずつ負け込んだこともあった」 (友人)。
「遊んでいたのは (トランプの) バカ
ラ賭博。どんなに負けても、週明けに会社の 会議に出るため、日曜日には必ず帰っていた」 (カジノ業界関係者)。 カジノの税収が世界一というアジア中から富 裕層が遊びに訪れるマカオで、井川容疑者は 常連として知られていた。
「複数のカジノに通い、巨額を賭けることが
できるVIPルームに入り浸っていた」(カジノ 業界関係者) 多くのカジノでは、高額のチップを投じる 常連の上客にホテルの部屋や送迎用リムジン を用意するサービスもあり、
「(井川容疑者は) 億単位の入金を要求し、一部はカジノ運営会社の口座に直接振り込みを指示するなど、常軌を逸した会社法の特別背任容疑で大王製紙前会長の井川意高容疑者が逮捕された
最高級のもてなしを受けて感覚が麻痺 (まひ) していたのではないか」と知人は話す。 関係者によると、ラスベガスのカジノでも数 億円の借金を抱えていたほか、昨年開業したシ ンガポールのカジノで豪遊したことも —— 。東 京でも芸能人が出入りする六本木や麻布の飲食 店に通い、羽振りよく遊ぶ姿が目撃されていた。
会社の資金100億円超をカジノにつぎ込ん だ創業家のプリンス。豪遊の限りを尽くした 大王製紙前会長の井川意高容疑者 (47) が11 月22日、会社法の特別背任容疑で東京地検 に逮捕された。損失はカバーできるとしても、 祖父から3代かけて地道に築いてきた「エリ エール」のブランドは汚辱にまみれた。企業 統治が機能しなかったつけ
44 は大きい。 エリート
「ちょっと入れてもらえませんか」。22日午 前、係官がインターホン越しに声を掛けた。 愛媛県四国中央市の大王製紙四国本社近く にある井川容疑者の実家。東京地検の係官 は高さ約2メートルの外壁に囲まれた広大な 敷地の中に消えていった。外国大使館も点 在する高級住宅地、東京・広尾の同容疑者の 自宅にも家宅捜索が入った。 井川容疑者は大王製紙のトップに立つこと を約束されたエリートとして育てられた。東 大法学部卒業後、1987年に入社。手触りの
大王製紙47歳トップの逸脱 派手な交遊関係と孤独な一面 暴走の陰に創業者一族の支配権
18 SAN DIEGO YU-YU DECEMBER 16, 2011
良い高級ティッシュペーパーで人気を集め、 家庭紙事業を強化した。 最前線で事業を指揮していた時期は、成 功したブランドのエリエールについて「家庭 紙で(高級車メルセデス)ベンツのような存 在になった」とリーダーシップを自負した。 2007年6月に社長に就任。同族支配から脱 却する姿勢をアピールしたこともあった。
ひ弱さ
一方、周囲から距離を置く孤独な面もあっ たという。「ギャンブルで使ったことも事実」 「不徳の致すところ」
。逮捕後に弁護人を通じ
て公表した文書で、子会社から巨額を借り 入れ、そのほとんどをカジノで使っていたと あっさりと認めた。
「深みにはまった」というカジノ遊び。東
京の盛り場での芸能人らとの派手な交友も 週刊誌などに取り上げられた。豪遊で寂し さを紛らわせていたのか ―― 。関係者は 「坊 ちゃんとして育てられた。ひ弱さもあったの では」と指摘した。 大王製紙は井川容疑者の祖父、
伊勢吉氏を
初代社長として1943年に設立。古紙を回収 して和紙を生産することから始めた。会社 更生法申請など苦難もあったが再編を繰り 返し、拡大路線を突き進んだ。
実父の高雄氏も社長を務め、 豪腕で知られ
た。価格で横並びになりがちな製紙業界で、 独自に低価格を打ち出し
「競争原理を持ち込
み、消費者の利益になった」 (業界関係者) と評価された。こうした成功体験が組織を 蝕 (むしば) み、大王製紙の社内は「父子は 特別の存在、
(特別調査委員会) になっていった。 自粛ムードなく
「決別する考えはない」。10月下旬の記者 会見で井川家との関係について聞かれた佐 光正義社長はこう説明した。創業家一族は ファミリー企業を通じた株式保有などでグ ループに対する巨大な「支配権」を維持して おり、抜本的な改革は困難なのが実態だ。 同社主催の女子ゴルフ、大王製紙エリエー ル・レディースは予定通り10月中旬に開催。 例年のように大会前にプロアマ戦が開かれ、 井川一族関係者も参加していた。関係者は
「自粛ムードはなかった」と証言する。 大和総研の藤島裕三主任研究員は「オー ナー企業は意思決定などで暴走するリスク が高い。そうした企業が不祥事を起こした 場合には、さらに厳しい姿勢で企業統治に 取り組まないと市場の信頼は得られない」 強調している。■
と 特別な 「お坊ちゃん」
創業家3代目 井川容疑者は、
反対するなど到底できない状況」 起業した祖父、 事業を拡大さ
せた父親に続く創業家の3代目。業界3位の 総合製紙メーカーで若くして社長の座を約束 され、特別な存在の「お坊ちゃん」だった。 「明日までに自分の口座に振り込むように」。 子会社役員に対し、目的や使い道を説明せず、 担保もない貸し付けを指示。振り込みは昨年 5月から今年9月まで26回、計106億8千万円。 だが、子会社役員は「前会長には逆らえな かった」
。返済の可能性は検討されず、取締役
会に諮られることもなかった。 辣腕 (らつわん) 経営者とされ、厳しいこと で知られた父高雄・元社長も 「意高氏には甘 かった」と20年以上同社に勤務した男性は 話す。確かに、息子の “賭博三昧” を「報道で 初めて知った」と元社長は語っていた。 現役で東大に合格。大学時代の友人は「明 るく快活な人柄で、頭も良かった」と評した。 この頃から、政官財の有力者から芸能界まで 幅広い人脈を培っていったという。 1987年に入社するとわずか4年で取締役に 就任し、1998年には副社長に昇格。同社OB の男性は「口数は少なかった。ただ立場が役 員だろうがなんだろうが、
ジュニアとして特別な
存在だった」と話す。 2007年の社長就任時には「社員と問題意識 を共有する企業風土に改めたい」
と述べていた。
元役員の70代男性は 「何でこんなことに なったのか…。立派な父親から会社を引き継 いだプレッシャーがあったのかもしれない」と 言葉少なに話した。
資料: 共同通信社
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