This page contains a Flash digital edition of a book.
M マルディグラって何? 節食前の祭り


   


「マルディグラ」とはキリスト教国で行なわれる行事の ひとつで、フランス語で「太った火曜日」(Fat Tuesday) という意味。翌日から始まる節食期間の前に、たくさん 食べて羽目を外してどんちゃん騒ぎをしておこうと始ま りました。


 この節食期間は「四旬節」(Lent)と呼ばれ、


日」(Ash Wednesday)からキリストの復活を祝う「イー スター」まで続きます。四旬節の46日間*1には、


肉、


イリーな食べ物を食べる日と定着したようです。  


カーニバルとマルディグラ


 カーニバル(謝肉祭)は「肉よ、さらば!」という意味 のラテン語“Carne Vale”に由来し、


「マルディグラ」当


日までの約1週間*2のお祭り騒ぎを指します。  現在、一部の地域ではカーニバル自体をマルディグラと 呼んだり、カーニバルと「太った火曜日」を区別するため に最終日を「マルディグラ・デー」と呼ぶ人もいます。  いずれにしても、


元々あった宗教的な意味は薄れ、 パレー


ドや音楽を中心としたお祭りとなっています。ブラジル・ リオデジャネイロのカーニバル、ニューオーリンズのカー ニバルが世界的に有名です。


アメリカにおけるマルディグラの歴史


 アメリカにマルディグラを伝えたのは、フランスの探検 家アイバーヴィル。1699年3月3日、メキシコ湾からミシ シッピ川に入った彼は、現在のニューオリンズから約60マ イル南の西岸に上陸してキャンプを設置しました。偶然に もその日はマルディグラ。これを記念して、その地を「マ ルディグラ・ポイント」 と名付け、パーティーを開催しま


卵、


油、乳製品、嗜好品などの食事制限や祝宴の自粛が行な われます。よって、


「太った火曜日」には、リッチでオ


Gras ar di


特大のフロートと仮装したエンターテイナー、熱狂 的な観衆が作り出す熱いカーニバル。ニューオリンズ に代表されるマルディグラは、節食期間の前にハメを はずして騒ごうと始まったお祭りです。


・ レント What is Mardi Gras?


した。これがアメリカでのマルディグラの始まりと言われ ています。


全米最大のカーニバル


 例年200万人の観衆を集める全米最大のカーニバルと して有名なのが「ニューオーリンズのマルディグラ」


。1月 「灰の水曜 6日の「公現祭」からカーニバルが始まり、 「太った火曜日」


の3週間ほど前からは、ほぼ毎晩1つ以上のパレード行 なわれます。  最高潮を迎える「太った火曜日」には、大小さまざまな 団体( クルー / Krewe)のフロートが繰リ出します。フロー トの上からは、ビーズのネックレス、メダル、ぬいぐる みやプラスチックのカップなど、スロー(Throws)と呼ばれ るものを観衆に投げるのが習慣となっています。これを キャッチすると幸運が訪れると言われています。スロー にはプレミアが付くものもあり、特に南アフリカ部族の ズールー族のココナッツのスローが人気です。   パレードの最後尾を飾るのは、1872年から続く由緒あ るクルー、レックスの豪華絢爛なフロートです。レック スは毎年「カーニバルの王と女王」を男女1名ずつ選ん でいます。これに選ばれることは、ニューオーリンズ市民 にとっての名誉となっているそうです。  マルディグラは「謁見式」 (the Meeting of the Courts) で終わります。これは、カーニバルの王と女王が、ニュー オーリンズに現存する最古のクルー、


「ミスティック・ク


ルー・オブ・コムス」の王と女王に会う儀式のこと。近 年ではホテルで仮面舞踏会を開いて、謁見式を行なって いるようです。


*1)四旬とは40日のことですが、キリストの復活を記念する日 曜日を除くので、実際は46日間となります


*2)クリスマスから数えて12日目にあたる1月6日の「公現祭」 からカーニバルを開始する地域もあります


聖書によると、キリストは断食して荒野をさまようと いう修行を40日間も続けたといいます。この苦行を偲 ぶため、聖なる日曜日(イースター当日)の前にレントと 呼ばれる40日間の節食期間に入ります。灰の水曜日に は、悔い改めの印として、額に灰を受ける儀式があり ます。この期間中(日曜日を除く)、日中は肉、卵、油、 乳製品を控え、結婚式などの祝い事も行いません。


・ キングズ・ケーキ(Kings Cake) 楕円形のコーヒーケーキで、ケーキの中には小さな人 形か豆が1つだけ入っています。それを見つけた人に は良いことが起こると言い伝えがあります。また、そ の人は来年度のキングズ・ケーキを買ってパーティー を催さなければならないという習慣があります。


・ マルディグラのテーマソング 「もし愛がこの世から無くなったら、おそらく牛が卵を 産み、魚には足が生えてくるだろう。もし愛がこの世 から無くなったら……」


“If ever I cease to love, May


cows lay eggs and fish grow legs, If ever I cease to love” というなんとも理不尽な歌ですが、これがテーマ ソング。1872年、マルディグラに来ていたロシアのロマ ノフ大公が観劇中に美しい歌姫に心を奪われてしまっ たことから、その芝居に使用されていたこの曲がテーマ 曲に決まってしまったということです。


・ ダブルーン(doubloon)


フロートから投げられるスローのひとつで、通常はマ ルディグラ・カラーのプラスチックか金属製のコイン です。レックスによって導入されたもので、クルーの紋 章、名前、創設年月日が片面に刻まれ、もう片面には その年とパレード、舞踏会のテーマが刻まれています。


・ マルディグラ・ココナッツ


スローの中で最も人気の高いものの一つ。以前は金色に 塗られたくるみでしたが、1920年代からココナッツに。 金色のきらびやかな装飾のものと、ズールー族の化粧を 模して塗られたものの2種類に大別されます。フロート から投げられたココナッツでケガ人が続出したこともあ り、現在では手渡しされています。


・ フラムボー(flambeaux) 2012年マルディグラの開催日


 マルディグラの開催日は毎年変わります。これは 移動祝日のイースターが基準となるためです。マル ディグラはイースターから遡って47日前の火曜日。 今年は2月21日に行なわれます。


1 春分を過ぎた最初の満月の日を探します 2 その満月を過ぎた最初の日曜日がイースター 3 イースターから数えて47日前が「マルディグラ 」 4 その翌日が「灰の水曜日」


。レントの始まりです 2/21 2/22 3/20 4/8


夜間パレードで使用される一種のたいまつ。夜でもフ ロートがよく見えるようにと、


1857年に 「ミスティック・


クルー・オブ・コムス」が使用したのが始まり。現在、最 も一般的なフラムボーは木の棒の先にガスバーナーを取 り付けたもので、運び手は様々なアクロバットを披露す るため、夜間パレードの呼び物となっています。


・ ルンディグラ (Lundi Gras) ルンディグラは「太った火曜日」の前日、


*カトリック教会の場合 「太った月曜


日」の意味。ニューオーリンズのパレードをするズー ルーやレックスなどの君主がエリアに到着し、1日中 パーティーが開催される日です。


SAN DIEGO YU-YU FEBRUARY 16, 2012 11


Mardi Gras Trivia マルディグラに関するトリビア


・ マルディグラカラー マルディグラ・カラーと呼ばれるのは 紫、 、


、 金、 緑の3色。 紫は「正義」金は「力」緑は「信頼」を象徴しており、


マルディグラ・カーニバルの1〜2週間はこの3色で 町中が染まります。


(


)


(


)


Page 1  |  Page 2  |  Page 3  |  Page 4  |  Page 5  |  Page 6  |  Page 7  |  Page 8  |  Page 9  |  Page 10  |  Page 11  |  Page 12  |  Page 13  |  Page 14  |  Page 15  |  Page 16  |  Page 17  |  Page 18  |  Page 19  |  Page 20  |  Page 21  |  Page 22  |  Page 23  |  Page 24  |  Page 25  |  Page 26  |  Page 27  |  Page 28  |  Page 29  |  Page 30  |  Page 31  |  Page 32  |  Page 33  |  Page 34  |  Page 35  |  Page 36  |  Page 37  |  Page 38  |  Page 39  |  Page 40  |  Page 41  |  Page 42  |  Page 43  |  Page 44  |  Page 45  |  Page 46  |  Page 47  |  Page 48  |  Page 49  |  Page 50  |  Page 51  |  Page 52  |  Page 53  |  Page 54  |  Page 55  |  Page 56  |  Page 57  |  Page 58  |  Page 59  |  Page 60  |  Page 61  |  Page 62  |  Page 63  |  Page 64  |  Page 65  |  Page 66  |  Page 67  |  Page 68  |  Page 69  |  Page 70  |  Page 71  |  Page 72  |  Page 73  |  Page 74  |  Page 75  |  Page 76  |  Page 77  |  Page 78  |  Page 79  |  Page 80  |  Page 81  |  Page 82  |  Page 83  |  Page 84  |  Page 85  |  Page 86  |  Page 87  |  Page 88