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48 SAN DIEGO YU-YU


JUNE 1, 2012


© Kyodo


CLOSE UP 2012 陳光誠氏 「国内残留」 ⇒ 一転 「出国」 へ 米政権の誤算… 中国政府は弾圧強化も


陳氏、国に虐待の賠償請求    中国が監視解除を約束  陳光誠氏は5月9 日、電話取材に応じ、 自身や家族に行われ た虐待に対する賠償 を中国政府に求めた ことを明らかにした。 一方で、中国の当局 者は、山東省の陳氏の自宅に対する地元当局に よる監視態勢を解くことを約束したという。  陳氏によると、中国各地からの陳情を受け付 ける国家陳情局の担当者がこれまでに4回、陳 氏が滞在している病院を訪問。陳氏は公安当局 に拘束された2006年の前から自身や家族に行 われてきた監視や暴行などの虐待に対する賠償 と、


「市民の権利」を保障するよう求めた。 盲目の人権活動家、


 盲目の中国人権活動家、陳光誠氏 (40) の 処遇問題は、中国政府が5月4日、陳氏の渡 米を留学目的で認める方針を表明したことで 解決の見通しとなった。家族らの安全に確信 が持てずに当初の


「国内残留」 から一転、 陳光誠氏(40)が中国当局の軟禁から逃れて米当局の保護下にあることを、 供を受けて中国の大学に進み、 その後、 米国と 「出国」


を希望した陳氏。中国側の対応を読み誤った 米国を尻目に、中国当局が民主活動家への弾 圧をさらに強化することも懸念される。


脅迫


  「陳氏は安全な環境で高等教育を受ける機 会を含め、中国政府から将来に関する多くの 約束事を取り付けている」


。陳氏が北京の米


大使館から市内の病院に移った5月2日、ク リントン米国務長官が声明を発表した。  中国政府が陳氏の安全を保証し、国内の大 学への進学を認めたと受け取れる文面だが、 米中はこの段階で既に陳氏の将来の米国留学 で合意し、陳氏も承諾していた可能性がある。  


「陳氏は奨学金や生活費、家族用住宅の提


国外に出して影響力を消し去る 中国の出方と陳氏の心を読めず オバマ政権の恥ずべき日と批判


 


の交換 (留学) 制度を持つ別の大学に移る案 を中国政府から提示されていた」 (ロック駐中 国米大使)  しかし、陳氏が病院で再会を果たした妻子 は中国当局からの激しい脅迫や暴行にさらさ れていた。母親や兄弟、支持者らの安全も懸 念されたため、陳氏は中国政府の対応に不信 感を抱いて当初の国内残留の意向を翻 (ひる がえ) し、早期の渡米を求めた。問題決着を 急いだ米国側は中国側の出方や陳氏の心の揺 れを読み切れなかった。


亡命 「中国政府は陳氏には中国を離れてもらいた


いと思っている。メディアや国際社会の関心が 集まる陳氏を国内に留めておくよりも、外に出 して国内での陳氏の影響力を消し去りたいか らだ」 (中国の民主派作家、野渡氏)  中国の民主活動家らは、中国当局が早期決 着を図ったのは国内の社会安定を重視した結 果で、今後も活動家らへの締め付けが強まる のではないかと懸念する。実際に陳氏が米大 使館を離れて北京市の病院に入った後、陳氏 の支援者らが相次いで当局に拘束されたり、 軟禁されたりしている。  陳氏の古くからの友人で、人権派弁護士の


弱腰


 11月の米大統領選の共和党指名候補となる ロムニー前マサチューセッツ州知事は5月3日、 「オバマ政権には恥ずべき日だ」


と対応を痛烈に


批判。対中強硬派の議員や人権団体も一斉に 非難の声を上げた。  再選に向けて経済情勢を好転させたいオバ マ政権にとって米中関係の安定は不可欠。野 党共和党側に付け込まれるスキを与えるわけ にはいかないが、


共和党は中国への


が招いたオバマ政権の失策として、さらに追及 する構えだ。■


人権擁護に取り組む在米団体「対華援助協会」が伝えた (4月28日=北京の米大使館)


江天勇氏は5月3日、陳氏を見舞おうと病院 に行ったところ、公安当局者にホテルに連行 されて暴行を受けた。片耳の聴力が低下した 江氏を当局は自宅軟禁下に置いた。  


「米国に行って数か月休みたいだけ。ちょっ と旅行をして、また中国に戻りたい」


。陳氏は


支援者を通じてネット上に発表した声明の中 で希望を述べたが「出国すれば再び戻ること は厳しい」 (別の民主派作家) との見方が支 配的だ。  既に中国当局が「不安定要因」 (同) とみな した陳氏の帰国を再び認める可能性は低く、 留学名目の出国が事実上の亡命になるとの公 算が大きい。


 担当者は「中央政府の決定」として、地元当 局に家族らに対する監視を解き、陳氏の自宅に 設置した監視カメラを撤去するよう命じたと説 明。監視要員は自宅から既に引き上げ、周辺か らも立ち退きつつあるとした。  出国に必要なパスポートの手続きについて、 陳情局の担当者は、脚を骨折するなどして治療 中の陳氏に代わって当局者が行うと表明したと いう。発行時期は不明。医師は骨折治療のため のギプスを外すまで6~8週間かかると説明、 陳氏は治療の進み具合も考慮しつつ出国時期を 決めるとみられる。


「人権問題を外交戦略にするな」 著名改革派経済学者、茅于軾氏  中国の民主化を活発に訴えて米シンクタンク、 ケイトー研究所の「自由賞」を授賞、式典のた め訪米した中国の著名改革派経済学者、茅于軾 氏 (83) が5月4日、共同通信のインタビューに 応じ、盲目の人権活動家、陳光誠氏をめぐる問 題について、中国政府が「内政干渉」と反発す るのは間違っていると批判した。  -- 米中間の交渉の進め方をどう見るか。  


「陳氏個人にとって最善の方法で解決しなけ


ればならないのに、国家のメンツの問題になっ ている。これでは胡錦濤国家主席が打ち出した 『以人為本 (人間本位)』


ではなく 『以国為本 (国


家本位)』になっている」  「中米間の大きな外交問題になっているのは 非常におかしい。米国が人権問題を外交の武器 に使うのは完全に間違っている。


しかし中国が『内


政干渉だ』と反発することに何の利益があるの か。陳氏のために安全な場所を探してやること が国家の仕事だ」  -- 中国の人権状況は改善するか。  


「胡主席の時代の約10年間で大きな進展はな 「弱腰外交」


い。この間の最大の変化は世界貿易機関 (WTO) 加盟だ。政府の役人が非常に多く欧米に行くよ うになり、中国と世界の良い所と悪い所を見比 べるようになった。それが中国社会や人権状況 にも良い影響を与えている」  -- 習近平国家副主席が主席となる時代に期待は。  「習氏は米国にホームステイした経験がある。 海外留学経験者も多数が大臣や副大臣クラスに 登用され、世界の状況がよく分かっているはず だ。


またインターネットの発展によって不透明だっ


た政策決定過程も、少しずつ透明になってきて いる。中国は必ず変わる」


資料: 共同通信社


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