「徐々に成績も上がっている。北京


（五輪）ではメダ


ルまであと一歩。頂点を目指すが、簡単ではないのも 分かっているので遠慮気味に…。どの色でもいい。メ ダルがほしい」


　—それはＷ杯の前に言っていたことと同じ。 　


「欲を出しすぎないのがいいんだと思う。内心では絶


対取ってやると思っていても、ちょっと控えめに言った ほうがいいのかなという気がする」


　—昨年を振り返ると。 　


「どとうの一年というか、忙しい一年。初めて国内で 移籍をして、震災もあって。Ｗ杯と五輪のアジア予選 があって、またリーグがあって、そして全日本選手権…。 本当にタイトで忙しかったが、すごく充実していた」


　—Ｗ杯を思い返すと、どういう大会だったか。 　


「最近のような感じも、すごい昔のような気もする。


Ｗ杯を機に女子サッカーの注目度もすごく変わった。 今後の子どもたち、女の子たちがサッカーをやっていく には、本当にいい環境がつくれたかなという気がする」


「輝く１年に！」と書いた色紙を手に笑顔を見せる「なでしこジャパ ン」の沢穂希


　—Ｗ杯後、ブームの渦中にいると感じた時は。 　「最初は夢というか信じられない感じ。Ｗ杯前はメデ ィアも数人。帰ってきたら、空港に普段テレビで見て いたメディアの人たちがいて。韓国やハリウッドのスタ ーが来る時みたいで不思議だった。でも帰国後、たく さんのお客さんが試合や練習に来てくれて『世界一を 取ったんだな』って感じた」


　激戦に次ぐ激戦を制し、昨年の女子ワールドカッ プ


（Ｗ杯）ドイツ大会を制したサッカー日本女子代 表「なでしこジャパン」


。北京五輪の4位から4年


を経て、ロンドン五輪で金メダルを狙う。Ｗ杯に比 べ、五輪は強敵が少なく、優勝への期待は高まる。 　エースの沢穂希（INAC神戸）はもちろん、新た に攻撃の軸の1人となった川澄奈穂美（INAC神戸） や若手ながら守備陣に欠かせない熊谷紗希（フラン クフルト）ら魅力的な選手がそろう。不況の荒波を 受け、チーム撤退が相次ぐなど冬の時代にも耐えて 世界の頂点を極めた 花を咲かせるか。


「なでしこ」がもう一度大輪の


どの色でもメダルほしい 沢穂希、五輪は挑戦者で


　サッカー女子Ｗ杯優勝から今年のロンドン五輪へ。 自信も経験もある。 穂希


「なでしこジャパン」のエース、沢 （３３） が存分に思いを語った。言葉は控えめだが、 意欲がのぞいた。


—１５歳でデビューした日本代表は今年で１９年目。な でしこの顔として不遇の時代にも耐えてきた。 　


「自分は代表も一番長いし、光が当たっていない


ときからやっている。Ｗ杯の優勝は本当に大きか った。それをきっかけにサッカーを始める女の子 や、震災とかでサッカーをやめなくてはならない 子も、なでしこの影響でまたやりたいとなってくれ て、うれしかった。夢を与えられたというか、体の 小さな日本人でも世界を相手にこんなに戦えるんだ ということを証明できた部分では、すごくよかった」


—昨年９月の五輪予選は過密日程に苦しんだが、突破 した。 　「若い子たちはＷ杯優勝ですごい自信がついたと思 う。１


１日間で５試合。しかもそれが五輪予選という厳


しい条件も初めて。そこでしっかり結果を出せるのは、 なでしこの強みかなと思った」


　—４位に終わった北京大会から目標にしてきた五輪 が迫ってきた。 　


「Ｗ杯優勝で、分析され警戒されると思う。でも、


記事&写真提供：共同通信社


サッカー女子Ｗ杯決勝の米国戦、延長後半に同点ゴールを決め、ガッツポー ズで駆けだす沢（１０）


。左は熊谷＝２０１１年７月、フランクフルト


サッカー女子Ｗ杯決勝の米国戦、延長後半に同点ゴールを決める沢（右）＝ ２０１１年７月、フランクフルト


44 SAN DIEGO YU-YU


JANUARY 1, 2012


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