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皇位継承改革を先送り…募る危機感 男子限定…窮地に立つ皇族と系譜


「男子優位」に違和感も    女性たちの反応  秋篠宮妃紀子さま が悠仁さまを出産さ れた2006年。当時、 この皇室の慶事が皇 位継承問題と絡み、 祝福ムードに「男子優 位」


が色濃くにじんだ。


その時に聞いた女性たちの声 —— 。  生後7か月の娘を抱いた東京都渋谷区在住 の20代後半の主婦は、


言われているみたい」と話していた。 「41年ぶりの男子誕生」


「皇位継承順位第3位」などの言葉が飛び交 うのを聞いて「


『女の子だったらがっかり』と 「愛子さ


またち皇室の女のお子さんや、自分の娘まで が可哀想になりました」  千葉市の30代前半の主婦は「一般の家庭 なら、娘が家を継ぐのも普通。弟の子どもが 継ぐことはまずない。皇室がなぜそこまで男 の子にこだわるのか不思議です」と語った。  雅子さまと紀子さまの関係がどうなるか気 になるという横浜市在住の30代半ばの会社 員は「お二人の周囲が寄ってたかって、男の子 を産んだ女性を『勝ち組』にしているみたい。 女性としてイヤーな感じ」と顔を曇らせていた。 * * * * *


消防関係者らの 「全国慰霊祭」に出席された78歳の天皇陛下。気管支肺炎で入院され、退院から5日後に公務復帰をされた。右は皇后陛下 (11月29日=東京都港区)


 インターネットでは女性天皇をめぐる議論 が活性化した。主に女性がユーザーのサイ ト「イー・ウーマン」が「紀子妃の出産で日本 の皇室は変わると思いますか」と問い掛けた ところ、1,500人余りから回答があり、 が約3割、


「いいえ」が約7割だった。  投稿も多数寄せられ、同サイトによると、


 男性皇族が少ない皇室の “窮状” を宮内庁長 官が野田首相に訴えた。現行の皇室典範が定 める皇位継承資格者は男系男子のみ。歴代政 権はなかなか皇室制度改革に動きだす気配が なく、78歳の天皇陛下や宮内庁は、このまま では皇室の系譜が途絶えると危機感を募らせ ている。


胸の内代弁


 宮内庁の羽毛田信吾 (はけた・しんご) 長 官は2005年の就任後、皇位継承をめぐる発 言を繰り返してきた。


「ここ何年か、将来に


わたる皇統の問題をはじめ、皇室に関わるも ろもろの問題を憂慮している様子を拝してき た」


。天皇陛下が心労から胃腸の炎症を起こさ


れた2008年12月には、その胸の内をこう代 弁した。  民主党が政権交代を果たした後の2009年 9月にも、皇室が安定的に続くかどうかは問 題含みだとの認識をあらためて示し「検討、対 処してもらう必要がある」と強調、内閣に対し


飽くなき宮内庁長官の内閣進言 悠仁さま誕生で制度改正返上 緊急課題ではない女性宮家創設


30 SAN DIEGO YU-YU JANUARY 1, 2012 継承者の誕生


 2005年、小泉純一郎首相 (当時) の私的 諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は 女系・女性天皇を容認し、皇位継承順位を長 子優先とする報告書を出した。ところが、現 行制度上で皇太子さま(51)、秋篠宮さま(46) に次ぐ継承者の悠仁 (ひさひと) さま(5)が 2006年9月に生まれると、制度改正の歩みは 停滞。民主党政権下では全くと言っていいほ ど動きはなくなった。  天皇陛下は2003年に前立腺がんの摘出手 術を受け、2011年2月には心臓の冠動脈に硬 化が見つかった。11月に入ると、気管支肺炎 を患い20日近い入院生活が続いた。  皇后さま(77)は10月の誕生日に際して発表 した文書で「陛下も私も、少ししんどい


4 4 44 年令に


来ているかと感じています」と、加齢と健康 への不安をのぞかせた。


て説明も行った。  


「国会の論議に委ねるべきだ」と、皇室


制度改革問題への発言を控えてきた陛下も、 2009年11月の即位20年に際しての記者会見 では、皇位の安定的継承が難しくなる可能性 があるのではとの記者の問いに「現状につい ては質問の通りだと思います」と珍しく首肯 (うなず) いた。


余力なし  藤村修官房長官は11月25日の記者会見で


「女性宮家」創設も将来の検討課題になると の認識を示した。未婚の成年女性皇族6人の 平均年齢は24.3歳。秋篠宮家の長女眞子さま が10月に20歳になったことを念頭に、羽毛 田長官は


「女性皇族が結婚年齢に近い年になっ


ている」と指摘する。  女性宮家そのものは、皇位継承者を増やす 制度ではないが、2005年の有識者会議の報 告書は「女子が皇位継承資格を有するとした 場合には、婚姻後も皇位継承資格者として皇 族の身分にとどまり、その配偶者や子孫も皇 族となることとする必要がある」と記述。女 性宮家創設は女系・女性天皇実現への議論に つながりうる。  ただ、東日本大震災からの復興や環太平洋 連携協定 (TPP) への交渉参加など、野田内閣 の課題は山積している。


「は


い」と答えた人も「いいえ」と答えた人も、皇 室に変わってほしいという思いは共通してい た。


「女性天皇に道を開く皇室典範の改正論


議が萎 (しぼ) んでいくことに失望感がある ようです」と担当者。


* * * * *


 漫画家の辛酸なめ子さんのように「皇室の 伝統を守るために男の子が生まれてほしいと 思っていました」と手放しで喜ぶ女性もいた。  タレントで作家の遙洋子 (はるか・ようこ) さんは「日本には『嫁』として男の子を産むか どうかで立場が変わる女性が少なくない。そ ういう女性たちは雅子さまや紀子さまと自分を 重ね合わせ、男の子が生まれて本当によかっ たと思っているでしょう」と分析した。  一方で、遥さんは「私の周囲の働く女性た ちは、誕生を祝いつつも、政治家や学者の発 言、マスコミ報道の中に『男の子でよかった』 と言わんばかりの論調があふれていると感じ、 反発しているようだ」とも。 * * * * *


「緊急の課題ではない。


とてもそんな余力はない」 (政府関係者) と本 音も漏れ、皇室問題の優先順位は低い。  ある皇室関係者は「今のままでは皇室の活 動の幅が将来狭まるのは明らか。眞子さまが 結婚する前に (女性宮家などの) 制度を整え ておくことが必要。世の中の人々にも、もう少 し関心を持ってもらいたい」と話している。■


 推理作家の山崎洋子さんは「男系男子にこ だわる考えがクローズアップされていますが、 女性たちは万世一系だから敬うというより、民 間から皇室に入られた女性たちが懸命に生き るお姿を我が身に引き付けて見るから尊敬し、 愛する。そうした親近感が皇室を支えている のは一面の真実でしょう」と指摘した。  だからこそ、皇室の女性たちは輝いていて ほしいと山崎さんは願う。「皇室が国民に与え る影響は大きい。私たち女性は、皇室の女性た ちに元気を与える存在でいてもらいたいので す。子どもが生まれるかどうか、それが男の 子かどうかなんて本人の努力ではどうしようも ない。そういうことで女性が苦しむのを見る のはとてもつらい」


資料: 共同通信社


「はい」


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