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CLOSE UP 2011 CIAに


ビンラデン殺害の瞬間、 “We got him”


ィ 安堵のため息 オバマ大統領つぶやく 「殺害権限」付与   


揺れた3代米政権  米軍特殊部隊が国 際テロ組織アルカイダ の指導者ウサマ・ビン ラディン容疑者を殺害 した根拠の一つは、米 中枢同時テロ直後に当 時のブッシュ大統領が、 アルカイダ幹部を殺害する権限を中央情報局 (CIA) に 与えたことだ。殺すのか、拘束するのか。クリントン 政権からオバマ政権まで、ビンラディン容疑者に対す る米政府の姿勢は揺れ動いた。  ケニアとタンザニアの米大使館を狙った1998年 8月の同時爆弾テロをアルカイダの犯行と断定したク リントン政権は、同月、アフガニスタン東部の基地 に滞在中のビンラディン容疑者ら殺害を目指し、巡 航ミサイル攻撃を実施したが失敗。  注目の的だったクリントン氏の不倫疑惑から をそらすための攻撃」


「関心 慎重な姿勢に転じた。当時のCIA高官らは、


と国際批判を浴び、殺害作戦に この時


期の対ビンラディン作戦計画は「拘束が目的で、正当 防衛以外の殺害は認められなかった」


と証言している。 国際テロ組織アルカイダ指導者、ウサマ・ビンラディン容疑者殺害のニュースは衝撃を伴って世界を駆け巡った(5月2日=東京都港区新橋の家電販売店)


 作戦遂行中、重苦しい雰囲気が続く室内。 殺害が伝えられた瞬間、大きな安堵のため息 を漏らす大統領や側近 ―― 。国際テロ組織ア ルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者 を殺害した約40分間の作戦の一部始終を、 オバマ大統領はホワイトハウスで見守ってい た。同席していたブレナン大統領補佐官 (テ ロ対策担当) が5月2日の記者会見で明らか にした内容から、当時の緊迫した状況を再現 した。


「ジェロニモ」


 米東部時間の1日昼、ホワイトハウスにある シチュエーション・ルーム (作戦司令室) に オバマ政権の閣僚らが秘密裏に招集された。 作戦開始は午後。昼前からゴルフをしていた 大統領は午後2時過ぎに加わった。  米海軍特殊部隊SEALS (シールズ) がパ キスタンの首都イスラマバードの北約60キロ にあるアボタバードの隠れ家を未明にヘリコプ ター4機で急襲、


銃撃戦を展開する。ロイター 通信によると作戦部隊は15人前後で、証拠


大統領ゴルフ中止、作戦司令室へ ヘリ4機で急襲、銃撃戦を展開 SEALSが容疑者の頭部を撃つ


30 SAN DIEGO YU-YU JUNE 1, 2011


収集を受け持つ要員も含まれていた。  状況は現場からの映像を交え、刻々とリア ルタイムで作戦司令室に伝えられた。固唾 (か たず) を呑 (の) んで見守る大統領ら。緊張し た空気と沈黙は作戦が進むにつれてその重さ を増していった。  


じられた。集まった幹部らの人生で最も不安 に満ちた時間だったと思う」とブレナン氏。  「ジェロニモが殺害された」。米主要メディ アによると、ビンラディン容疑者の暗号名で 殺害の一報が届いた。オバマ政権は「生け捕 り」も選択肢の一つだったと強調するが、作 戦司令室のあちらこちらで安堵の溜め息が漏 れた。  大統領は 「We got him (仕留めた)」


と呟 (つ


ぶや) いた。2003年末、イラクを占領統治し ていた連合軍暫定当局のブレマー行政官がサ ダム・フセイン元大統領拘束に成功した際に 発した言葉と同じだった。


不安


 シールズには全幅の信頼が寄せられていた ものの、不測の事態への不安は消えず、実際 に作戦中にはヘリコプター1機が不調に見舞 われた。ビンラディン容疑者が潜伏している ことを裏付ける決定的な証拠がなかったこと も不安を増幅させた。


 ブレナン氏は作戦の是非をめぐって政権内 に見解の相違があったことを認めた上で、


「最 「分単位の時間の経過が何日のようにも感


近の大統領の中でも最も勇敢な決断をした」 とオバマ氏を称えた。  作戦中、異常を察知したパキスタン空軍の 戦闘機が現場に向けて緊急発進し、ホワイト ハウスがさらに緊迫する一幕も。ブレナン氏は


「我々の航空機がパキスタンの空域を脱するま で、


パキスタン側には連絡しなかった」


作戦の秘密保持徹底のために薄氷を踏む思い だったことをにじませた。


周到な計画


 米中央情報局 (CIA) が主導した今回の作戦 の準備は入念だった。  ビンラディン容疑者の頭部を撃って殺害し たシールズは、さまざまな方法で集められた 情報を基に隠れ家のレプリカ (模擬施設) を 構築。構造や間取りを完全に把握するため 「何 度もシミュレーションを繰り返した」(ブレナ ン氏)。  


「世界は安全になった。今日は米国にとって 良い日だ」


奏したことへの喜びを率直に語った。  ブレナン氏もアルカイダの首領を排除したと 胸を張り、対テロ戦争での「決定的瞬間だ」と 強調。だが、


アルカイダは 。大統領は2日、周到な計画が功を


「国際法違反」と息子ら    ビンラディン容疑者殺害で  NY・タイムズ (電子版) は5月10日、


国際テロ


組織アルカイダ指導者ウサマ・ビンラディン容疑者 の息子たちが米軍による同容疑者の殺害を な国際法違反」  同紙によると、


「明白 していなかったのに米軍が殺害し、


と批判する声明を出したと報じた。 声明はビンラディン容疑者が武装 遺体をアラビア


海で水葬にしたことや家族も銃撃したことを非難。  真実が世界の人々に明らかにされるような形で 逮捕、裁判の手続きが取られなかったのはなぜか と質 (ただ) し、イラクのフセイン元大統領や旧ユー ゴスラビアのミロシェビッチ元大統領の裁判例と 比べて


「推定無罪の原則と公正な裁判の権利を無 「致命傷を負ったが、


まだ息がある」とも語り、消滅させるまでの 道のりはなお遠いとの認識を示した。 ■


視するもの」とした。  声明作成を主導したのはビンラディン容疑者の 四男で父親のテロ路線に反発して別離したオマル 氏。文章中で同氏の姿勢にも触れ「父親に路線変 更を訴え、どのような状況でも市民は攻撃すべき ではないとのメッセージを送っていた」としている。  同紙は、オマル氏やその母親と共にビンラディ ン容疑者についての本を著した米国人作家ジーン・ サッソン氏を通じて10日に声明を入手したという。


資料: 共同通信社 と述べ、


 1999年2月には、アフガン南部の狩猟用野営地に ビンラディン容疑者が滞在しているという確度の高い 情報があったが、クリントン氏は襲撃作戦実施を見 送った。  2001年9月11日のテロの衝撃で米政府の慎重姿 勢は吹き飛んだ。ブッシュ大統領は9月17日の文書 で、アルカイダ高官に対し「致死的な武力を行使する」 権限をCIAに与えた。文書は機密指定されたままで、 骨格部分が複数の米メディアにより明かされている。  政府による暗殺を禁じる従来の大統領令と矛盾す る内容だが、ブッシュ政権は「交戦中の敵戦闘員」に 対する攻撃として正当化した。 ラディン容疑者を


ブッシュ氏は同日、 「生死を問わず」 ビン 捕獲すると宣言した。


 オバマ政権下でもCIAはブッシュ氏の「殺害権限」 を引き継いだ。政権高官はCIAが指揮した今回の襲 撃作戦に際して、明確な殺害命令があったとは認め ていないが、ロイター通信によると、政権内では作戦 を実施すれば殺害につながるとの認識が共有されて いた。同容疑者が降伏して拘束された場合には


「もう


一度会議を開いて、どう対応するか決める必要があっ た」 (政権高官) という。


© Kyodo


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