14 SAN DIEGO YU-YU
MAY 16, 2012
古代都市ウシュマル Pre-Hispanic Town of Uxmal
ユカタン半島北部に位置するプウク地方では、 ジャング
ルの中に頭を突き出すようにウシュマルのピラミッドが聳え ています。
ウシュマルはマヤ最盛期の7世紀から10世紀にかけて、 政治と経済の中心地として繁栄した古代都市です。当時 の全貌を想像することができるほど、良い保存状態で 残っています。 ウシュマル遺跡の特徴は、壁に薄い石灰石版を貼り付 け、その上に表面装飾が施されていることです。幾何学 模様や雨の神チャックなどの装飾の素晴らしさは評判で す。マヤ人がこの地方を「プウク」(丘)と呼んでいたた めに、ウシュマルに見られるこれらの建築様式をプウク 様式と呼ぶようになりました。
「魔法使いのピラミッド」は、円錐 すい
形の珍しいピラミッ
ド。土台が楕円形に近く、角も丸く作られています。高 さ36.5メートルの5層式で、各層の高さはそれぞれ異な り、下から2番目の層が20メートルと一番高くなって います。60度〜70度という急勾配の118段の階段両脇
にはチャック像が上から下まで並べられています。最上 部には精密な幾何学模様の装飾が壁を埋める神殿があり ます。神殿の中には、さらに小さな4つの神殿が造られ ています。
多くの小部屋があることから、スペイン人たちによって 「尼僧院」
と名付けられた建物群もあります。 実際は宮殿だっ
たようです。外壁上部のレリーフは見事で、チャックやク クルカンの姿も見られます。中庭を囲むように4つの建物 が残っています。 横96メートル、マヤアーチで繋げた横長の建物「総 督の宮殿」も必見。103個ものチャック像が壁を装飾し ているのを見ることができます。
乾燥した丘陵地帯であることから雨の神チャックを崇 あが
めた古都ウシュマルの人々。周辺には今もマヤ人の集落 が点在することで知られています。
小人のピラミッド
ユカタン半島北部にはウシュマル、 カバー、サイール、シュラバックなど、
プウク様式の遺跡が集中しています。 プウク様式の最大の特徴は、
土砂とセメントで固
めた壁の表面を薄い方形の岩板で上張りする点で す。壁いっぱいに施された精巧な幾何学模様もプウ ク様式を代表するものです。
ウシュマルはプウク遺跡群の中で最大かつ最も 卓越した遺跡と言われています。魔法使いのピラ ミッドは、魔法使いが大切に温めた卵から生まれ た小人が一夜で築いたというマヤの伝説があり、
たたず ま
「小
人のピラミッド」という別称が付いています。実際 は、何回かに分けて建てられていることが分かっ ています。ピラミッドの神秘的な佇
い、マヤ建築装飾の逸品と言われる幾 何学模様のレリーフなど、見どころが たくさんあります。
❶ 魔法使いのピラミッド ❷ 4つの建物が中庭を取り囲むよう に建てられた尼僧院 ❸ 双頭のジャガーが彫られた玉座。２つ の頭は、人と神、政治と祭事の二面性を表します ❹ プウク建 築の最高傑作とされる総督の館。マヤアーチが見られます
❷
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